ご挨拶

生理学講座(環境生理学)は、昭和51年に島根医科大学生理学第一講座として開講し、平成15年4月に環境生理学と名称を変え、平成15年10月に島根医科大学と旧島根大学との統合と法人化に伴い、島根大学医学部生理学講座(環境生理学)となりました。この間、初代教授 桝村純生先生(昭和51年4月~平成11年3月)、第2代教授 紫藤治先生(平成11年10月~令和5年3月)が、生理学研究と教育の発展に尽力されました。令和5年5月1日に、山口大学大学院医学系研究科より、岸博子が第3代教授として着任しました。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 研究テーマは平滑筋の収縮制御機構です。平滑筋は血管・消化管・膀胱などの管状や袋状の臓器の壁を構成し、血圧調節・食物の移送・蓄排尿など各臓器の生理的機能に重要な役割を果たすとともに、その収縮制御機構の破綻は臓器の虚血や機能障害を引き起こし、生命やQOLに重大な影響を及ぼします。私は虚血を引き起こす病的な収縮である血管平滑筋異常収縮が引き起こされるメカニズムを研究し、質量分析計を用いて血管平滑筋異常収縮に関与するシグナル分子の同定を進めてきました。異常収縮のメカニズムの全容を解明して、異型狭心症やくも膜下出血後脳血管攣縮など異常収縮によって起こる疾患の治療法の開発に繋げる事を目標としています。

 

教育では、生理学Ⅰの講義と実習を担当させていただきます。生理学は様々な生命現象のメカニズムを解明しようとする学問であり、医学部で生理学を通して人体の様々な正常機能について学び理解を深める事は、上級学年で様々な疾患の病態生理を正しく理解するために必須です。更に、医師となった後も、疾患の病態解明や治療法開発の基盤となる極めて重要な学問です。山口大学では丸暗記ではなくメカニズムを理解させ、病態生理の理解に繋がる様な生理学講義・実習を心がけてきました。島根大学でも病態生理の理解へ繋がる生理学教育を実践し、優秀な医師の育成に貢献したいと思います。

 

 ヒトゲノムの全配列情報が解読されてから20年以上が経ちました。これらの遺伝情報が、生体にとって、病気において、どのような意義をもつかを解明するために、生理学は重要な役割を果たします。自身の研究の推進を通して次世代の研究者を育成し、生理学の更なる発展に繋げたいと思います。



経歴

1990年3月 群馬大学医学部医学科卒業


1990年6月 群馬大学医学部医学科内科学第一講座 研修医

(小林節雄 教授、森昌朋 教授、山田正信 教授)


1991年6月 利根中央病院 研修医


1992年6月 上武呼吸器科内科病院 内科医師


1994年6月 群馬大学医学部医学科薬理学講座 研究生

(小濱一弘 教授)


1995年4月 群馬大学大学院医学研究科 博士課程 大学院生

(小濱一弘 教授)


1999年3月 群馬大学大学院医学研究科 修了 博士(医学) 学位取得


1999年6月 総合太田病院 内科医師


2000年7月 米国国立衛生研究所国立心肺血液研究所 研究員

(Robert S Adelstein 博士)


2002年9月 山口大学医学部医学科 器官制御医科学講座 分子細胞生理学 講師

(小林誠 教授)


2006年4月 山口大学大学院医学系研究科 応用医工学系学域 生体機能分子制御学分野 講師(大学院改編のため教室名変更)

(小林誠 教授)


2011年10月 山口大学大学院医学系研究科 応用医工学系学域 生体機能分子制御学分野 准教授

(小林誠 教授)


2016年4月 山口大学 大学院医学系研究科 分子細胞生理学講座 准教授(大学院改編のため教室名変更)

(小林誠 教授、宮本達雄 教授)


20235月 島根大学医学部 教授